日々移り変わる流行の最先端を追って、忙しい毎日を送るファッション雑誌の編集者:藍。ある号で動物特集を組んだ事がきっかけで、ペットショップで売れ残ってしまった一匹のワンコ:ゴールデンレトリバーの子犬と出会いました。
『売れ残って、商品価値がなくなってしまった犬は…』と説得され、また子犬の純粋な目に射抜かれた藍はこの子を飼う事に。コピーライターの彼氏:浩介との都会のおしゃれマンション同棲生活が、郊外の一軒家で二人と一匹の生活へ…通勤も生活も、忙しい彼女に取ってはとても大変な日々が始まりました。
子犬は『リラ』と名付けられました。シャングリラの、リラです。
犬のいる生活は大変でしたが、とても幸せな日々でもありました。時間がある程度自由に使える同居人の浩介にも助けられていた藍でしたが、ある日、些細な事で彼との間に小さな亀裂が…。
仕事への情熱が強い藍、ついに浩介とも別れてしまう事に。仕事との両立はできないと、リラを浩介に引き渡す事にしていた藍でしたが、リラは藍を選びました。
郊外、大型犬、女性、一人暮らし、新しい恋、バリバリの編集者。
どれかを選べば、どれかを諦めなければいけない。自分の仕事疲れとリラの世話、日々大きくなってゆく葛藤の中で、藍は『決して考えてはいけない事』を、ついに頭の中に浮かべてしまいます。
『私にはどうする事もできない方法で、リラがいなくなってしまえばいい。
いっそ、病気にでもなって、いっそ、死んでしまったら…』
…そして、リラは、本当に病気になってしまうのです。
本当に大切な事、自分が見失っていた感情、そして誰よりも守ってあげたいと思う気持ち。
こんな状況になって、初めて気づく事がたくさん。藍は、リラのために尽くしました。
ろうそくが消える、その時まで…。
本屋で手に取ったときは、可愛い表紙と裏書きとで感動モノなんだろうなーと予測はしていましたが。
まさか、ラストに向けてこんなに涙でグジュグジュにさせられるとは思いもよりませんでした(>_<)
飼い主さんの本音が、彼女の発言からチョイチョイ垣間見える感じは、本当に仕事を持ちつつ動物を飼う人の思いなのかな?と思う一方で、彼氏の浩介から発せられる一言一言が、それを諭すような重みのあるメッセージに。それは動物についてだけでなく、人との接し方などにも通じるような、大事な内容だったように感じました。
登場人物がとても生きています。ペットショップの店員、編集部の同僚、ドッグランでの友人。後半のカギを握る編集部の上司、タクシーの運転手、動物病院の先生。
そして何よりも、彼氏。人の見せ方を大切に書かれている本なのかな、と思いました。
各個人のキャラクターがわかりやすく描かれているので、いろんなシーンがすごく頭に描きやすいです。
原田マハさんの本は『カフーを待ちわびて』に続いて2作目。
前作も思い返せば、登場人物の特徴付けや動き続けるストーリーなど、今作とも共通項が多いような気もします。ってことは、これが原田さんの持ち味なんだなーっと。
この持ち味、俺はかなり好きかもしれません(^^)
犬を飼っていたり、飼った事がある方。なにより、動物が大好きな方。
絶対に一度、最後まで読み切ってほしい一作です。何よりも大切な事が見つけられるでしょう。























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